東京メトロポリタンテレビジョン 2017年1月26日
代表取締役社長 河内 功 殿
民放労連 関東地方連合会
委員長 渡辺 豊
民放労連 沖縄地方連合会
委員長 嘉手納 央揮
「ニュース女子」の放送内容に関する質問状
貴放送局における日頃の放送には敬意を表します。しかしながら1月2日に放送された「ニュース女子」に関して、放送法及び放送倫理上で大きな懸念を感じる内容の放送がなされました。
沖縄の米軍基地問題に関しては、沖縄とそこに住む市民が戦前・戦中・戦後という日本の歴史の中で強いられてきた様々な経緯があるにもかかわらず、それら歴史的経緯を無視したあまりにも一方的な放送内容となったことと、その後の貴社の対応に関して、放送産業に働く労働者の団体として大きな疑問を抱かざるを得ません。
そこで今回、貴放送局における、1月2日、9日、16日に放送された番組「ニュース女子」について、以下の点をお伺いいたします。
一、1月2日放送の「沖縄・高江ヘリパッド問題」で、レポーターが「過激な反対派を取材」
と言いながら、実際には、現地、高江にも行かず、反対派の取材もせずに一方的な放送を行ったことは、放送法4条に定める「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に抵触していないとお考えでしょうか。
一、同日放送で、ヘリパッド建設反対派を最初から「連中」呼ばわりし、「暴力を振るっている」「襲撃される」と犯罪者やテロリストのように扱いましたが、人権的に問題はないとお考えでしょうか。
一、同日番組で登場した「ボギー手登根」こと「手登根安則」氏、及び「我那覇真子」氏は、沖縄ヘリパッド建設に関して、反対派を強く攻撃する人物であり、非常に偏った人選だと思われますが、こうした人選に問題はないとお考えでしょうか。
一、同日番組、及び9日放送の同番組で「往復航空機代が5万円支給される」ということについて問題視していますが、往復航空機代の支給元である「のりこえねっと」を一切取材せず、一方的な見解のみの放送となったことについて問題ないとお考えでしょうか。
一、DHCシアターが製作した番組であっても、放送局には番組に対し放送責任があるとお考えでしょうか。
一、貴社の放送基準には
「放送を通じてすべての人の人権を守り、人格を尊重する。個人、団体の名誉、信用を傷つけない。差別・偏見の解消に努め、あらゆる立場の弱者、少数者の意見に配慮する。」
「人種、民族、文化、国家、宗教、風俗・習慣などについての相互理解を促進し、世界平和の実現・維持に努める。」
「政治、経済、社会生活上の諸問題は公平、公正に取り扱う。意見が対立している問題については、できるだけ多角的な観点から情報を提供する。」
「常にわかりやすい表現を心がける。人々に不安や恐怖、または不快感を生じさせるような表現はしない。暴力や犯罪を肯定的に取り扱わない。報道される人の人権には、十分に配慮する。」
などとありますが、今回の番組はこれらの放送基準に抵触するものではないとお考えでしょうか。
さらに貴社放送基準には「日本民間放送連盟放送基準に準拠する」と書かれていますが、この同基準32条には「ニュースは市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づいて報道し、公正でなければならない」とされており、その事例には「情報系番組」も含まれていますし、34条には「取材・編集にあたっては、一方に偏るなど、視聴者に誤解を与えないように注意する」とされていますが、番組の内容は、これらに抵触していないとお考えでしょうか。
一、貴社の放送基準には
「放送が真実でなかったり不適切だったことが判明した時は、できるだけ速やかに明確な訂正、取り消しの放送をすると共に再発防止に努める。」
と定められていますが、訂正、取り消しの放送をするお考えはあるのでしょうか。
一、1月16日の同番組で「1月2日に放送しました沖縄リポートは様々なメディアの沖縄基地問題をめぐる議論の一環として放送致しました。今後とも様々な立場の方のご意見を公平・公正にとりあげてまいります。」との貴社見解が放送されましたが、「事実に基づかない放送」が「議論の一環」になるとお考えでしょうか。
以上、1月末日までにご回答をされるよう、お願い申し上げます。