東京メトロポリタンテレビジョン株式会社 御中
民放労連 東京メトロポリタンテレビジョン労働組合
申入書
先日BPO放送倫理検証委員会にて見解が示された、「ニュース女子」の
沖縄基地問題特集に関し、下記の通り申し入れる。
1.BPO放送倫理検証委員会の見解を受け、会社としての見解を社員に
対して説明すること
2.BPO放送倫理憲章委員会の見解を受け、会社としての今後の対応を
社員に対して説明すること
以上
現在、関東地連のホームページは工事中のため、暫定的にこちらに文書などを掲げています。新しいURLに引越しした際には、このHP上でお知らせいたします
2017年12月18日
声 明
MXのチェック体制の確立と、
制作会社DHCシアター( 現:DHCテレビジョン )の捏造体質改善を望む
日本民間放送労働組合 関東地方連合会
委員長 池田幸吉
日本民間放送労働組合 沖縄地方連合会
委員長 桃原 永
12月14日、BPO放送倫理検証委員会はMXが今年1月2日に放送した「ニュース女子」
の沖縄の基地反対運動をめぐる放送について「重大な放送倫理違反があった」との判断
を示した。
意見書はMXの放送責任として、持込番組の考査について「裏付けの無さ」「侮蔑表
現」など6点について指摘している。そして「考査には“砦”の役割がある」としなが
ら「本件放送において、砦は崩れた」と書かれている。
記者会見では、番組冒頭から、基地反対派を「連中」「シルバー部隊」などと揶揄し
たり、侮蔑的な表現を繰り返していることについて「悪意に満ちた放送だという認識が
考査担当者に無かったのか」という考査担当者の力量を問う質問や、「BPOは放送法9
条における『訂正放送』を求めるつもりはないのか」などの質問がされたが、「MXは
考査体制を強化している」「訂正放送を求めるつもりはない」との返答であった。
また「ニュース女子」が審議入りした際、番組のMCや出演者が「審議入りは審理入り
より軽い措置で大したことではない」という主旨の発言をしたことについては、「『重
大な放送倫理違反』とは『重大』と言っている通り、軽いものではない」と苦言を呈す
る場面もあった。
BPOは今回制作会社であるDHCシアター(現:DHCテレビジョン)にも話を聞こうと
したが、DHCシアターは直接のやり取りを拒否、結局MXを通じて書面を提出するにと
どまった。持込番組とは言え、放送で流す以上、放送番組基準をクリアした内容でなけ
ればならないが、BPOは「取材の裏付けの無さ」「侮蔑表現」の責任を制作者に求める
ことは無く、全て放送局の考査の責任として倫理違反を認定した。
MXは2月27日付で「捏造、虚偽があったとは認められず、放送法及び放送基準に沿っ
た制作内容であった」としていたが、12月14日付で、捏造、虚偽については触れていな
いものの「今回の意見を真摯に受け止め、全社を挙げて再発防止に努めてまいります」
との見解をホームページで掲載している。しかし、制作会社であるDHCシアターは9月
30日に当初見解を再掲し「基地反対派の言い分を聞く必要はない」と一方的な放送内容
について開き直る硬直化した態度を改めて示している。
この盗人猛々しいとしか言いようのないDHCシアター、及び「ニュース女子」のデマ
体質に切り込まなければ、この番組発のネット上にあふれるデマや捏造、誹謗中傷は際
限なく拡散されていくのだが、BPOとしては、今回内容についても沖縄に赴き調査を行
っており、裏取り取材がされていない実態についても救急車出動時の搬送時間、映像に
映っていた人物の特定などを含め、極めて細かい検証をしている。その上で「十分な裏
付けがないままに放送された点で、本件放送には放送倫理上の問題が含まれていた」と
している。しかしながら、DHCシアターが対面調査に応じない以上、MXの放送責任を
問うまでが限界だったということだろう。
まだ、BPOの放送人権委員会の方では同じく1月2日放送の「ニュース女子」は審理中
であるが、まずは今回の「放送倫理違反」との指摘を機に、MXの再起を願うと同時に、
DHCシアターのデマ、捏造制作体質が改められることを強く希望する。
また加えて言うならば、BPOは第3者組織であり、我々とは何の関係も無い機関であ
るが、今回のBPO放送倫理検証委員会の意見と調査内容は、民放労連沖縄地連、関東
地連が出した本年1月26日付の質問状、及び4月18日付の抗議書が極めて真っ当なもの
であったことを結果的に裏付けるものであることを指摘しておく。
(質問書、抗議書は関東地連HPをご参照ください)
以上
各位
民放労連関東地方連合会(以下「関東地連」)、及び、民放労連沖縄地方連合会(以下「沖縄地連」)は、この度、2017年1月2日に東京メトロポリタンテレビ(以下MX)で放送された「ニュース女子」における「沖縄高江ヘリパッド問題」の放送について、4月18日付で抗議文を送付いたしました。
同日の「ニュース女子」については既に「放送倫理・番組向上機構=BPO」が審議入りしております。しかし、それ以前に、関東地連、及び沖縄地連では、番組内容に虚偽がある上に、取材手法についても多大なる疑義があり、さらに日本民間放送連盟の定める「日本民間放送連盟放送基準」、及び放送法に抵触するのではないか、として質問状を2度に渡りMXに送付いたしました。質問状に対するMXの反応につきましては、抗議文の前段に書いてある通りであります。
一方で、MXとは別に、番組の制作に当たるDHCシアター代表取締役、浜田麻記子氏、及び、番組チーフプロデューサー山田晃氏は「『ニュース女子』の放送については、問題が無く、抗議は、むしろ言論弾圧である」という主旨の見解を出しています。この見解は、民放連の放送基準を知らずに抗弁されたものと推測されますが、制作会社の見解の如何を問わず、MXには、1月2日に放送された「ニュース女子」について、放送事業者としての責任があると考えております。
関東地連、沖縄地連としては、上記の番組は虚偽の内容を含んでいる上に、放送基準を著しく逸脱していることから、放送の信用を失墜させるものであり見過ごすことは出来ないと判断し、これまで「公開」としなかった質問状を公開するとともに、抗議文をMXに対し送付した次第です。
民放労連関東地連と民放労連沖縄地連は、下記の通り、東京メトロポリタンテレビジョン=MXに対して抗議文書を送付いたしました。
東京メトロポリタンテレビジョン 2017年4月18日
代表取締役社長 河内 功 殿
民放労連 関東地方連合会
委員長 渡辺 豊
民放労連 沖縄地方連合会
委員長 嘉手納 央揮
抗議文
貴放送局における日頃の放送には敬意を表します。
1月2日に東京メトロポリタンテレビジョン(以下MX)で放送された「ニュース女子」について、これまで民放労連関東地方連合会と同沖縄地方連合会は、MXに対し、質問書を出してきました。
一度目は回答をいただけず、再回答を求めたところ、MXからは2月15日付FAXで「BPO審議入りが決まったため、その過程でのコメントは審議に影響を及ぼしかねない。現時点でのコメントは差し控えさせていただく」という趣旨の連絡をいただきました。
ところが、2月27日になって、貴社はその主張を一変させて、見解を公表しました。
その唐突さ、そして内容の目に余る理不尽さに、驚くとともに、我々民放労連関東地連と民放労連沖縄地連は、強い憤りを以って、特に以下に挙げる要素に抗議するところであります。
一、取材者が、現地で取材した映像は無く、悪意のある言葉で沖縄批判をしているだけで、映像で立証されるものが何も無い。(質問書の第1番目、第2番目の項目参照)
沖縄に入ったリポーターが、基地に反対する人間を「反対運動の連中が」と呼ぶなど、最初から、不真面目な悪意をむき出しにした上で「この辺の運動家の方々は襲撃をしにくる」と述べているだけで、全く取材をしていない。
「襲撃される」というのも、理由が不明。
「近づくと敵意をむき出しにしてきて」と根拠らしきものを言っているが、現地取材と言いながら映像取材をしていないので、その真偽は分からない。
高江の現地は、様々な人が出入りし、その場所に行くことは容易であり、最初から行く気があったのか疑問である。
2017年のネット番組での取材では、高江に行って取材をしており、なぜそれが1月2日の放送では出来なかったのだろうか。
また、「二見杉田トンネル」から高江のヘリパッド建設地は直線距離にして25キロメートルほどあり、全く別の場所。二見杉田トンネルの前で「この先が高江のヘリパッド現場」というのは、東京駅で「埼玉はこの先です」と言うに等しい。
「トンネルの手前で足止めを食っている」というが、反対派住民はその直線距離25キロメートル先にいるのみで、その途中にはいない。トンネルの手前で止まって「トンネル手前で足止めを食っている」は事実誤認、もしくは虚偽。
(ネット番組で、2015年11月20日に基地反対のデモが、トンネルの向こう側のカヌチャリゾートであったとしているが、海をまたいだ直線距離ですら4キロメートル離れており、またそのデモの危険性を訴えるテロップ「不法侵入・威力業務妨害とも取れる抗議活動」は行政が認定したものではなく、番組独自の見解と思われる)
1月2日放送は、基地反対派を「テロリスト」と呼んでいるが、何を以って「テロリスト」というのか不明である。また基地反対派には様々な人がおり、十把一絡げに「テロリスト」と呼ぶのは人権上の問題がある。
また反対派住民の乱暴な行為についてであるが、もちろん不法行為は許されない。
同様に、機動隊の暴力もまた許されない。「対立する意見に対しての威嚇行為」は決して一方的なものではない。その映像はネットで普通に見られる。双方の映像提供が必要だろう。どのような暴力も許されはしない。
彼らは、様々な人々の集まりであり、ましてや番組で「シルバー部隊」とする人々は存在しない。彼らは、それぞれがそれぞれの意志で集まっているのであって、彼らの中に、意思に違って「集められた」と言える人は、現在までいない。
2016年には「テロリストには日本人に指一本触れさせない」と言っていた政権下で、米軍属に女性が殺害、遺棄される事件があり、その際も日米地位協定改定を求める声に、政府は判で押したように「運用で改善」と繰り返すのみであった。
そうした昨今の事情がある上に、政府は「沖縄に寄り添い」「丁寧に説明」などと言いながら、2016年の参議院選挙に於いて、沖縄の民意が明らかになった投開票の翌日未明に、高江に資材を運び込みヘリパッドの強行着工に踏み切った。そうした政府の行動に人々は抵抗しているのである。
そうした政府側の責任(道義的責任や説明責任など)に一切触れずに、基地反対運動を語ることは不可能である。
違法行為が許されないのはもちろんのことだが、基地反対の抗議行動の理由も取り上げず、沖縄の歴史や、基地を押し付けられてきた背景を知ること無しに「テロリスト」などという言葉で沖縄基地問題を矮小化するのは、ジャーナリズムの精神からはかけ離れている。
一、ナレーション、及びテロップに多大なる悪意がある
「反対派のみなさん、お疲れさまです」などの揶揄。
「過激派デモの武闘派集団『シルバー部隊』逮捕されても生活の影響のない65歳~75歳を集めた集団」というテロップに「万一逮捕されても生活に影響の少ない65歳以上のお年寄りを集め、過激デモ活動に従事させているという」とナレーションがかぶさるが、そのような事実は無い。誰が「集め」誰が「従事させているか」というウラ取りや事実確認もせず、こうした虚偽を放送することは放送の信頼性を損なう大問題である。
(なおネット番組では「シルバー部隊」の根拠として、2012年の沖縄タイムスの記事を紹介しているが、2016年、2017年の時点で「シルバー部隊」なるものは存在しない。年配の方々が、それぞれの意志で集まっているのである)
一、自分たちの論調に沿う、デマの中心人物を出演させている(質問書の第3項目目参照)
出演させた最初の人物は、沖縄デマの中心人物であり「反対派が『指を切ったなどと言ってドクターヘリを呼んだ』」などとネットで虚偽を拡散しており、信頼性に乏しい。
また、二人目のボギー手登根氏も、「反対派の妨害で救急車が止められた」などのデマを流している人物であり、信頼性に欠ける。
これらは、検索すれば、トップページに表れるほど、容易に分かることでありながら、
こうしたデマの中心人物を登場させた上に「救急車が止められた」という虚偽の放送をしているMXの責任は大きい。
(ネット番組では「基地反対派の場所が救急車の走行の邪魔になった」という発言を消防署から引き出しているが、なぜ、これを1月の放送でやらなかったのだろうか)
一、質問書の第4~8の項目について、第5番目の「MXの放送責任」については、「MXに放送責任はある」との見解が示されたが、その他の「取材を利害関係のある一方にしかしていない」ということ、また具体例を挙げて質問している「放送基準違反ではないのか」ということ、については、明快かつ具体的な見解は示されていない。
基本的に番組が結論ありき、で作られており、事実を以って論を成す、ということができていないことが、一番の問題である。
以上、抗議する。
重ねて言いますが「沖縄に寄り添う」「丁寧に説明」と発言しながら、多勢に無勢、問答無用とばかりに、着工を強行し、さらに恫喝やスラップ訴訟をちらつかせる権力側の手段や責任に一切触れずに、沖縄の基地反対運動を語ること自体が不可能、かつ一方的であるとの誹りは免れません。
また沖縄の基地の歴史や背景にも触れずに、沖縄の基地反対運動を語ることも上記と同様に不可能、かつ一方的です。
貴社は、「放送基準に沿った内容」との見解を出していますが、既に上で指摘したように、貴社の放送には「虚偽」と「それに類似した事実誤認」があり、放送法9条で定められている通り、「虚偽」については訂正放送が求められます。
沖縄基地問題についての「虚偽」もしくは「それに類似した事実誤認」の放送に対し、我々は、強く抗議するとともに、速やかな訂正放送を求めます。
また、貴社の意図したことではないでしょうが、ネットで放送内容を検証していますが、放送の検証は放送で行うべきであると考えます。